海外の証券口座の配当、円でいくら・税金はいくら?
受け取った回ごとの円換算と、申告分離課税でかかる日本の税の目安
この画面は、入れた過去の配当を、国税庁の通達と公表している税率に当てはめて整理した目安です。国税庁の文が見当たらない所は、この道具の置き方で計算しています(下に一覧があります)。相場の予測でも投資の助言でもありません。申告書の作成や個別の判断はしません。個別の判断は税務署・税理士へ。
日本の証券会社を通さずに、海外の証券口座で受け取った配当は、日本の税が引かれていません。この道具は、配当を受け取った回ごとに、その日の TTM で円に直して合計します(所得税基本通達 57の3-2 の円換算を、回ごとに当てはめる形です)。回ごとの行と、その日の TTM(円のレート)を入れると、円の配当の合計・現地で引かれた税の円の合計・日本の税の目安が出ます。
確定申告不要を選べるか: 日本の税が引かれていない海外の口座の配当は、法律の書き方を読むと、確定申告不要を選べる配当に入りません(読み方と、国税庁の名指しの文が見当たらなかったことは、下の「この道具の置き方」)。確定申告そのものが要るかどうか(ほかの所得の額など)は、この道具は見ていません。迷ったら税務署で確かめてください。
見本は、米国株1銘柄の四半期ごとの配当4回を想定した作った数字です(実在の配当・為替ではありません)。
通貨の違う銘柄(米ドルと香港ドルなど)は、通貨ごとに分けて計算してください(表の見出しの通貨が1つのためです)。
② 受け取った回ごとの行(1年分)
- 配当を受け取った回ごとに1行です。銘柄が2つあって同じ日に受け取った時も、銘柄ごとに1行にします。
- 配当の欄には、明細の Net(税を引いた後の額)ではなく、税を引く前の額(Gross)を入れます。Net を入れると、少なく出ます。国税庁 No.1330 は、配当所得の計算の式で「収入金額(源泉徴収税額や外国所得税額を差し引く前の金額)」と書いています。
- 現地で引かれた税は、明細の Withholding Tax などの額を、マイナスの記号を付けずに入れます(引かれていない回は空欄)。
- TTM は、その日の「1外貨=何円」の仲値(外貨を買う時と売る時のレートの真ん中)です。1ドル=150.25円なら 150.25 と入れます。行ごとに、その日の数字を入れます。
- TTM の調べ方: ふだん取引している銀行の、その日の仲値(TTM)を見ます。通達は、原則としてその人の「主たる取引金融機関」の相場によるとし、ほかの合理的な相場を続けて使っている場合も認めています。土日・祝日など相場が無い日は、その前の最も近い日の相場です(下の「もとになっている決まり」)。
- 日付は、明細の支払日(Pay Date)を入れます。これはこの道具の置き方です(どの日を使うかの決まりは、下の「この道具の置き方」)。
表計算で「日付・配当(税を引く前)・現地で引かれた税・TTM」の4列を選んでコピーし、ここに貼って「貼り付けた行で置き換える」を押します。日付は 2025/3/14・2025-03-14・20250314 の形を読みます(3/14/2025 のような月/日/年の形は読みません)。見出しの行など読めない行は飛ばします。上の行は全部置き換わります。
入れた数字は、このブラウザの中だけで計算します。保存も送信もしません。ページを閉じると消えます。
②に受け取った回ごとの行を入れると、ここに計算が出ます。
この道具が見ないもの・決めていないこと
- 総合課税で申告した時の税、申告分離課税と総合課税のどちらにするか、外国税額控除の控除限度額と、差し引ける額、株を売った損益、国外財産調書は見ません。
- 同じ年に、上場株式等の売却の損があった時の通算や、前の年からの損の繰越しは入れていません。
- 株などを取得するための借入金の利子を差し引く計算(国税庁 No.1330 の式にあります)は入れていません。
- 外国の取引所に上場していない株・投資信託の分配金・債券の利子は、確かめていません。上場株式等には、政令で「外国金融商品市場において売買されている株式等」が入ります(租税特別措置法施行令25条の9第2項第2号)。
- 大口株主等(内国法人の発行済株式などの3%以上を持つ人など)の配当は、申告分離課税の対象から外れます(国税庁 No.1330・No.1331)。外国法人の株での扱いは確かめていません。この道具は、大口株主等でない人の目安だけを出します。
- 申告書のどの欄に何を書くか(欄の番号)は、この道具は案内しません。国税庁の令和7年分の確定申告の手引きは、申告分離課税とする場合でも第二表の所得の内訳の欄に記入すると案内しています。分離課税用の第三表の様式には「上場株式等の配当等」の欄があります(『株式等の譲渡所得等の申告のしかた(令和7年分)』)。
この道具の置き方(国税庁の文が見当たらなかった所)
- 回ごとに円に直した額(外貨 × TTM)の1円未満は、切り捨てています。回ごとの端数の扱いを決めた国税庁の文は、確かめた範囲では見当たりませんでした。
- どの日のレートで円に直すか: 通達(所得税基本通達 57の3-2)は「その取引を計上すべき日」の仲値と書き、配当の収入すべき時期は「当該剰余金の配当等について定めたその効力を生ずる日」(定めていない時は、決議があった日)です(所得税基本通達 36-4)。海外の口座で受け取った配当について、支払日・効力を生ずる日のどちらの日を使うかを名指しした文は、確かめた範囲では見当たりませんでした。この道具は、入れた日付とレートをそのまま使い、日付の欄を明細の支払日にする形にしています。
- どの年分に入れるか: この道具は、入れた日付(支払日)の年で年分を分けています。年をまたぐ配当(年末に効力が生じて1月に支払われたもの)は、どの日を使うかで年分が変わることがあります。
- 国内の証券会社が国外株式の配当から日本の税を引く場面では、記名の国外株式の配当等について「支払開始日と定められている日」の TTB(外貨を円に替える時のレート)で円に直す通達があります(措置法通達 9の2-2)。これは国内の支払の取扱者が源泉徴収する時の決まりで、海外の口座で自分で申告する時に当てはめる文は見当たりませんでした。この道具は TTM で入れる形にしています。
- 確定申告不要を選べるか: 申告不要の対象を決めた条文(租税特別措置法8条の5第1項1号・2号)は、内国法人(2号は国・地方公共団体その他の内国法人)から支払を受ける配当を挙げています。外国株の配当がこれに入るのは、国内の支払の取扱者が日本の税を源泉徴収する場合に「これを内国法人から支払を受けるものとみなす。」とする規定(同9条の2第5項第2号)を通る時です。この読みでは、国内の取扱者を通さずに国外で受け取った配当は、申告不要の対象に入りません。ただし、海外の口座の配当を名指しした国税庁の文は、確かめた範囲では見当たりませんでした。税務署で確かめてください。
もとになっている決まり
- 円への直し方: 外貨で受け取った額の円換算は、「その取引を計上すべき日」の対顧客直物電信売相場と買相場の仲値(TTM)による(所得税基本通達 57の3-2)。TTB・TTS を継続して使える、とするただし書きは、不動産所得・事業所得・山林所得・雑所得を生ずべき業務の所得の計算に限られています。
- 相場の出どころ: 「原則として、その者の主たる取引金融機関のものによることとするが、合理的なものを継続して使用している場合には、これを認める。」(同 注1)。その日に相場が無い時は「同日前の最も近い日の為替相場による。」(同 注3)。
- 配当の額: 「収入金額(源泉徴収税額や外国所得税額を差し引く前の金額)」から、株などを取得するための借入金の利子を引いた額が配当所得の金額です(国税庁 No.1330)。
- 税率: 申告分離課税の税率は 20.315%(所得税および復興特別所得税 15.315%、地方税 5%)です(国税庁 No.1331・令和8年4月1日現在法令等)。No.1331 は、「令和9年分以後は、復興特別所得税の税率が、基準所得税額の1.1パーセントとなり、防衛特別所得税を、基準所得税額の1パーセントの税率で、所得税および復興特別所得税と合わせて申告・納付します。」と書いています。1.1% と 1% を足すと、今までの 2.1% と同じで、15% × 1.021 = 15.315% は変わりません(この道具の掛け算です)。
- 配当控除: 「外国法人から受ける配当等は、配当控除の対象となりません。」(国税庁 No.1250)。申告分離課税を選んだ配当にも、配当控除はありません(No.1331)。
- 選び方: 上場株式等の配当等を申告する時は、「その申告する上場株式等の配当等の全額について、総合課税と申告分離課税のいずれかを選択することになります」(No.1331)。確定申告で選んだ方法も、選ばなかった方法も、「その後、修正申告や更正の請求において変更することはできません。」(No.1331 内容の注1)。